新会長挨拶
2024年度6月末に新会長に就任しました、舘脇千春と申します。
設立当時から聴覚障害者の相談支援事業体制の確立に向けて活動を支えてくださっている本会会員の方はじめ多くの関係者の方々には温かなご理解をいただいており、心より深く感謝申し上げます。
本会は2006年に有志の集まりから始まり、2012年10月に東日本大震災時の支援を機として法人格を取得しました。今年は18年になります。すでにお気づきと思いますが、本会の名称である日本聴覚障害ソーシャルワーカー協会には「者」がありません。聴覚障害関係の支援に関わり、手話のできる聞こえる人と聞こえない人の社会福祉士及び精神保健福祉士の会員で構成している団体です。本会の活動に関心を持たれた方はぜひご入会いただけますと嬉しく思います。
本会では現在日本財団の助成を受けて能登地震で被災した聴覚障害者及びその支援者に対するメンタルケア支援の事業を進めており、現時点では関東中心の会員の方の協力をいただいて地域の聴覚障害者災害救援対策本部と連携して作業にあたっております。
ここで痛感したことは、現地の疲弊した支援者を支援できる体制を整える必要性でした。そこで今後は対人援助技術をもつ人材養成が重要になると考え、まずは「聴覚障害児・者支援を専門とするソーシャルワーカーの人材育成」を目的とした事業企画を検討しています。できることをできる範囲でとなりますが、新たな取り組みの一つとして、皆さまと一緒に考えてまいりたいと思います。
私事で恐縮ですが、大学では社会福祉を専攻し、ゼミの教授からは「困難な問題の解決はできなくても、その問題に立ち向かう『立ち尽くす実践』の大切さを学びました。現在もこれを座右の銘としておりますが、聴覚障害ソーシャルワークの実践にあたっては聞こえない当事者として壁にぶつかること多々あり、心折れることもございます。しかしながら、本会の活動にあたっては、これまで事務局長、副会長及び聴覚サポートなかまの派遣コーディネーターを微力ながら担当させていただいた経験を生かすことができればと考え、本会がこれまでに築き上げてきたネットワークと会員皆様との信頼関係をベースに、これからも多くの聴覚障害者とその支援をしている方々及び会員の皆さんが必要とされる協会であり続けられるようにしたいと思っております。
ぜひ皆様のお力をいただき、「聞こえる人も聞こえない人も共に、快適に暮らせる幸せな社会の実現」に向けた相談支援体制とは何か、一緒に追求していただきたく、今後も変わらぬご支援を賜りますよう心よりお願い申し上げます。
2024年7月 会長 舘脇千春